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平成31年2月19日(火)開催 

平成30年度 第6回教育懇話会報告
 第6回教育懇話会報告「学童期・思春期の発達の特徴と育ち直し」

 2月19日(火)、帝京短期大学生活科学科学科長・宍戸洲美先生をお招きして第6回教育懇話会が開催されました。先生は、10数年の看護職経験のあと昭和53年3月に東京都立看護専門学校保健学科を卒業され、53年4月に千代田区立麹町小学校に養護教諭として着任。その後、渋谷区立本町東小学校、中幡小学校に勤務。そして、平成17年4月からは、帝京短期大学・生活科学科の教授として養護教諭の養成と研究の道に入られ、今日に至っています。
 養護教諭時代には、東京都養護教諭研究会長を4年間務める等の功績が認められて、平成10年に東京都教育委員会表彰(学校保健功労賞)を、平成15年には文部科学大臣表彰を受賞されています。

帝京短期大学生活科学科学科長・宍戸洲美先生平成30年度 第6回教育懇話会

《講演から》
 「育ち直し」という言い方は、日本語の表記としては少し変かもしれません。ただ、子供を主体として考えた時、「子供が育ち直っていく」のだろうと言うような意味であると受け止めたいと思います。
「育てたように子は育つ」。私は、相田みつおさんのこの言葉が大好きです。ずいぶん前から座右の銘としています。子供自身が自らねじ曲がったり、歪んだりしたいと思っているわけではないのです。みんな真っ直ぐに伸びたいと思っています。けれども、周りの環境の中でそのように捻じ曲げられてしまい、盆栽だったらいいでしょうけれど、子供にとってはとても厳しいことです。
 学童期・思春期とは、おおよそ義務教育の始まりから性的な成熟するまででかなり幅があります。別な言い方をするなら、一人で歩いて登校できるところから自分の頭で考えて行動し、自己の確立に向かうまでを『思春期』というふうに認識されていると思います。身体の方は、量的な成長と共に質的な変化をしていき、二次性徴がほぼ完成するまでです。子供にとってみると、それぞれの発達段階で不安や悩みも大きく変化してくる時期です。
 学童期は6歳~11歳ですが、小学校高学年はすでに思春期の入り口に差し掛かっています。この時期に何を獲得すればいいかをエリクソンの発達心理学をもとに言いかえると「出来なかったことが出来る学童期」ということです。3歳児が掛け算の九九をやって「ママ、掛け算が出来るようになったよ」と喜んで訴えるのと、小学校2年生で掛け算ができるようになったという喜びでは、質の違いがあるわけです。従って、子供自身が出来なかったことが出来るようになったと実感できることが非常に大事です。どのくらい子供がこの喜びを実感しているのかということが重要です。分からなかったことが分かるということを通して「自分は捨てたものではない」という自信や有能感を獲得していく時期なのです。
 自信や有能感は、他者の評価を通して子供が自覚していくものです。小学校3年生くらいになると、自分がクラスの中でどれくらいの序列にあるのかということを自覚しています。何を以て自分自身を評価しているかというと、昔であれば駆けっこが速いとか、絵が上手いとか、喧嘩が強いとか、木登りが上手いとかで、それが自信に繋がったのですが、今の子供たちはそういうことではなかなか自己肯定感を持てません。
 その背景にあるものは何だろうかと考えると、教師は“過度な競争はさせたくない”と思っていても、親や周りの環境の中で日本の教育というのはやはり過度の競争になっているというふうに思われています。これは2001年に国連子どもの権利委員会が「日本の教育は過度の競争を強いていて、それがストレスになり不登校や自殺に繋がっているのではないか。このことを懸念する」と勧告しています。教育者としてこの辺も考えていく必要があります。
 次に思春期の発達課題についてですが一体、思春期というのは何歳で終わるのでしょうか。身体は、二次性徴が始まる頃からほぼ生理的な大人の機能を獲得するまでですが、この思春期の課題としては「自己の性や、自分自身を受け入れる」ということがあります。性の問題が色々言われていますが、それも含めて自分の性をどう受け入れるかという課題です。そして、親の保護から少しずつ離れていく時期ですから、時には親を突き放すようなきつい言葉も言わなければ離れられないということです。私自身、息子から「クソ婆!」と言われて、すごくショックを受けた記憶がありますが、そうしないと親から離れていけないわけです。
 思春期は、そのようにして自分は一人の人間としてどう生きていけばいいのかという自分との対話の時期、試行錯誤しながら自分らしさを見つけていく時期です。しかし、今、大学生を見ていてもなかなかそうはならないのです。自己との対話よりも周りのグループの中で「自分がどう思われているのか」というような不安、そのグループから外されたら学校に来られなくなる。私が小学校で勤務していた時代の6年生の悩みとあまり変わらない。そのようなことが大学生で見られるのです。子供たちの“育ちそびれ”の一面がこのような形でも出てくるのかなと思います。自分は自分でいいのだとか、自己肯定感をベースにして自己を確立していく時期が思春期です。それが「みんなと違うとやばい」「群れていれば安心」と思っているのですが、現実には繋がっていないのです。今の若者たちに、ラインを使ってのやり取りが非常に増えています。そのラインから簡単なことで外されてしまう。外されたことで立ち上がれないほど傷ついてしまう学生もいます。

■思春期が50年前の2倍の長さに
 児童期というのが6歳から11歳で非常に短い。この児童期は何をする時期かと言うと、大人社会をじっくり見て学ぶ時期で、ここが長いほど子供は大人社会について学べます。そして、早く大人になりたいなと期待をもつ時期なのです。けれども、この時期が非常に短くなってしまったということも“育ちそびれ”の背景にあるのではないかと思います。
 それに比べて、11歳くらいで初潮や精通が始まっていて、では結婚するのはいつ頃かというと28歳とか30歳です。そうすると、この長い間、どのように自分の性と向き合いその問題を処理するかという課題が出てきますし、それからどう自立していくかと言う課題も出てきます。後ほどお話しますが、思春期が50年前の2倍の長さになってしまっているのです。
■増えるパラサイト・シングル
 同じ働いている先生方を見ても、最近はパラサイト・シングルが増えてきました。昔は、高校生や大学生になったら、あるいは働き出したら家から出たいという欲求が非常に強くて、大体家を出ていました。ところが、最近は家から学校に通えば食事を作ってもらえる、洗濯もしてもらえるというパラサイト・シングルが、先生方の中にも増えてきました。(後略)

*この続きは、令和元年9月20日発行の「所報」第118号に掲載いたします。

平成31年2月1日(火)開催 

平成30年度 第5回教育懇話会報告
 第5回教育懇話会報告「プログラミング教育のあり方と課題」

 2月1日(金)、町田市立町田第五小学校長で第6期、第7期の中央教育審議会委員を務められた五十嵐俊子先生をお招きして、第5回教育懇話会が開催されました。先生は、現在も内閣府の『青少年インターネット環境の整備に関する検討会』委員として活躍されていますが、我が国のICT教育の優れた先駆者であると言っても過言ではありません。教育の現場に、いかに機会を捉えてプログラミング学習を導入されてこられたか、その貴重なお話を伺うことができました。

五十嵐俊子先生第5回教育懇話会報告「プログラミング教育のあり方と課題」

《講演から》
 私がICTにかかわるようになったのは、指導主事の異動で日野市に着任してからです。当時の日野市は、ICTに関して、東京の中でもかなり遅れているように感じました。そんなことで。何とかしなければいけないと市長や教育長と準備を進め、ICT活用教育に関する課である「日野市教育委員会ICT活用推進室」が設置され、そこの室長として三年間務めました。国勢調査の倉庫部屋を一部屋いただき、そこに事務職員1人、メディアコーディネーターを4人の組織でしたが、そこからスタートしました。それで、毎年少しずつ膨らませていき、そこでの経験が今の私のベースになっています。現在も、その推進室は立派になって、行政の課長さんがしっかりと引き継いで学校のサポートを続けています。
 ちょうど国の方も、「これではまずい、ちゃんとやろう」という時期でありましたので、いろんな委員を兼ねさせていただき、成長することができました。
 前任校である日野市立平山小学校は、私がICT活用推進室で整備し推進してきたものが、そのまま下りていました。これまでは広げる立場でしたが、これからは実践する立場に変わったことを意識し、頭を切り替えるよう努力しました。これまでの多くの分野の人脈を生かして指導をし、多くの方々から助けていただきました。国の事業に応募したり、大学や企業と共同研究を行ったりして、子供1人1台のタブレット環境を作り、ICT器機を当たり前のように使っていました。また、コミュニティ・スクールでもあったので、地域にどっぷり浸かって、甘えて8年もの在職となりました。その後、町田市立町田第五小学校へ転勤したのが平成30年4月です。
 現在の町田第五小学校は、玉川学園の地域にあります。着任当時はICT機器が整っておらず、コンピュータ室のコンピュータしかありませんでした。これまでの環境とは全く異なった環境で、タイムスリップしたような感覚をもったことを今でも忘れられません。さて、どうしようと。どうしなければいけないか、どうあるべきかというゴールは分かっているのですが、振り出しに戻るという感じでした。都内でも大分遅れているように思えたので、何とかしないといけないと考えていました。いつもそうなのですが、このような時に、色々と支援をして下さる方が現れます。以前に色々構築してきたことを生かし、課題だった点も最初からちゃんと補完した形で進めるように町田市に提案できました。ピンチはチャンス、遅れていたからこそ最先端の形で導入できました。   
 現在は話がとんとん拍子で進んでいて、ICTに関して、この1年は正に明治維新のようでした。何が変わったかというと、パソコン室の40台にプラスαで、今年と来年と2か年計画で小学校も中学校もクロームブック(Googleが開発しているオペレーティングシステムGoogle Chrome OSを搭載しているノートパソコン)という持ち運びができるノートパソコンが1クラス分の40台と全教員分の台数が配備されます。
 ただ、ネットワーク環境などの整備は経費がないので、ドングルをちょっと付けて、LTE回線で、場所を問わずにネット利用できるようにしています。
 本校は、夏にクロームブックを配備してもらいましたが、児童に1人1台の環境での実証研究を進めるために、研究推進校として、グーグルから40台、NTTのドコモから40台借りて、3クラス分の端末が揃っています。本校はちょうど各学年3クラスずつあり、ぴったりです。
 また、都内にはほぼ全校に導入されているのであろう「校務支援システム」が、やっと町田市にも導入されました。クロームブックの中に校務支援システムが入ることが決まりました。本年4月から本格稼働します。情報漏えいの心配がなくなります。データを持って帰るのではなく、家からサーバーを見るという解釈でクロームブックの持ち帰りはOKとなりました。
 私がずっと懸念していたのは、前任校での経験ですが、校務支援システムが入ってすごく便利だという反面、子育て中の先生方がすごく苦しいのです。休日に学校に来て仕事をやっていることもありました。それだけは何とかしたいと思っていたのが、クリア出来たのです。家で仕事をしてそのまま教材を学校に持ってくることも出来ます。
 ICT整備が遅れたことでかえって先進地区の課題をクリアできたのです。ここから先は色々なことを試してみたいと思っています。そんなわけで最初の一歩を日野市と町田市で2回経験できたのです。現在の町田市立町田第五小学校はプログラミング教育推進校となっていますが、この推進校の制度は東京の各区市で1~3校指定し、その学校からプログラミング教育を広げていくと言った戦略です。(後略)

*この続きは、令和元年3月22日発行の「所報」第117号で掲載しております。

◆1 令和元年度 第1回教育懇話会(令和元年5月17日実施)
「新学習指導要領全面実施に向けて」
        講師:澤井陽介先生(国士舘大学こどもスポーツ教育学科教授)
◆2 令和元年度 第2回教育懇話会(令和元年6月17日実施)
「公立学校の当面する教育課題とその対応」
        講師:山本聖志先生(前全日本中学校長会長/豊島区立千登世橋中学校長)

※ ◆1、◆2につきましては、HPの次回更新時に紹介いたします。

令和元年度第3回教育懇話会(予告)

日時:
令和元年10月15日(火) 18時~20時
演題:
「プログラミング教育の実践と課題」
講師:
東京都台東区立金竜小学校長/古谷尚律 先生
会場:
麻布台学校教育研究所ラウンジ飯倉

令和元年度第4回教育懇話会(予告)

日時:
令和元年11月15日(金) 18時~20時
演題:
「環境と防災―猛禽類の繁殖と地形、火山噴火と防災」
講師:
アジア航測株式会社 CSR推進室/松澤孝晋 氏
国土保全技術部/高柳茂暢 氏
社会インフラマネジメント事業部/臼杵伸浩 氏
会場:
麻布台学校教育研究所ラウンジ飯倉

令和元年度第5回教育懇話会(予告)

日時:
令和2年1月21日(火) 18時~20時 
演題:
「ネパールの初等・中等教育の現状」
講師:
日本ネパール女性教育協会 事務局長/岩谷榮子 先生
会場:
麻布台学校教育研究所ラウンジ飯倉

令和元年度第6回教育懇話会(予告)

日時:
令和2年2月13日(木) 18時~20時
演題:
「命と向き合う教室」
講師:
和光大学現代人間学部准教授
前東松島市立鳴瀬未来中学校教諭/制野俊弘 先生
会場:
麻布台学校教育研究所ラウンジ飯倉
【お申し込み方法】
  1. メール azabudai@niftiy.com
  2. 電 話 03(5563)2554
  3. FAX 03(6685)2566

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